ねがい
「あー……まだ学校があるのに、制服が濡れてるよ。洗濯しなきゃ」


ぐったりとしている身体を無理矢理起こして、ベッドから足を下ろした私は、着替えを持ってお風呂場に向かった。


いつの間にか部屋の照明が消えていて真っ暗だけど、誰かが消したのだろうと深く考えずに。


階段を下りるのも辛いけど、手すりを伝って何とか一階へ。


脱衣所に入り、制服を脱いで洗濯機に放り込んだ。


朝に間に合わなかったら困るから、乾燥機もセットして今すぐ回す。


これで、朝には乾いているかな。


学校で「汗臭い」なんて言われたくないから。


お風呂場に入り、髪を洗って、身体を洗おうとした時だった。












浴室の中の鏡の向こう。





そこに映る湯船の中から、ゆっくりと姿を現す黒い球体。








何……これ……。








慌てて振り返ってみると……そこはお湯が張られただけの、普通の湯船。


はぁ……疲れてるのかな。


いるはずがないと思っていた幽霊を近くに感じて、あんな夢まで見たから幻覚まで見てしまったんだろうな。


変なモノが映ったのはちょっと怖いけど、学校で起こった事を思えば、少しくらい何かがあっても、大した事ではないように思えてしまう。
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