すでに恋は始まっていた
私が紙を見つめて呆然としている間に、他の選手がそれぞれ紙を持って、私の横を通り抜けていく。


(どうしよう…本当は誰でもいいんだけど、「レトワール1位の好きな人」なんて大問題になる…)


その時、突然手に持っていた紙が消えて違う紙が私の手に置かれた。


私はびっくりして周囲を確認すると、そこには見たことないかわいい系の男子。


私と同じレースで走ってるっていうことは、おそらく1年生。


その男子は、驚く私にニコッとすると黄色ブロックの応援席へ駆けて行った。


(助けて…くれたの…?)


これが私のこれからを揺るがす大きな出会いだとも知らずに、私はその男子を目で追うだけだった。

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