すでに恋は始まっていた
「次は…」


手のひらを天井に向けると、手から水が噴水のように溢れ始めた。


「わぁ!」


近くで見たくて疾斗の手に顔を近づける。


すると、私の口の中に偶然飛んできた水が入ってきた。


(ん?)


「しょっぱい?」


「ああ、海水を海から少し持ってきているんだ。床に落ちた海水はそのまま海に戻っている」


床を見ると、確かに水滴は少しも落ちていない。


そして疾斗は窓の外の夕日に向かって指をさし、半円を描いた。


「虹だ!」


雨も降ってないのに大きな虹がかかった。


「こんな感じだな」

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