すでに恋は始まっていた
私は樹君に連れられるままに歩いて、小道の奥にあるテラスに座った。


「こんなところまで来ていただいてすみません」


「いいよ。それで話って?」


そう言うと少しためらったような顔をして深呼吸。


そして私の方をしっかりと向いた。


「日菜華さん、実は俺…昔、会ったことあるんです。日菜華さんと」


「え⁉︎」


私は記憶の隅々まで探してみるけど、全く心当たりがない。


(やばい…かなり失礼な人じゃん!)


「ご、ごめん。全然思い出せない…」

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