すでに恋は始まっていた
「げ!また読まれた!」


「はぁ…私はあんな軽いやつ大っ嫌いなの。それに比べて私の好きな人はね!」


自分でも顔が緩んでいくのがわかる。


好きな人の話をする時はいつもそう。


だってホントにかっこいいんだもん!


私の言葉で今度は泉が呆れ顔になった。


「はいはい、カーネーション君でしょ?聞き飽きたから」


《いつも聞いて忘れちゃうのは私だけど》


「ひど〜い!かっこいいんだから〜」


手をグーにして泉の頭を軽く叩く。


それを後ろに下がってひょいと避ける泉。


こんな瞬間が1番楽しい!


この時の私は考えもしていなかった。


私の正体がバレる時がくるなんて…。


そして能力のことを自分から話したいと思う日がくるなんて…。

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