すでに恋は始まっていた
「それより日菜、ソフトクリーム…いいの?」


「あ!」


私は両手に1つずつソフトクリームを持っていたのに、さっき霧谷の肩を掴んだ時に1つ落としちゃっていたの。


それも、樹君用に買ったバニラ味。


(私のをあげてもう1回買ってこよう…)


私は自分用に買っていたチョコレート味を樹君に差し出した。


「これ、食べてて!もう1回買ってくるから」


そう言ったのに受け取ってくれない。


「これは日菜の分だろ?」


「え!なんで知って…」


(そんなこと言ったっけ?)


「日菜がチョコレート好きなことくらい知ってるよ。待ってて、俺自分用買ってくるから」


「でも私が落としちゃったんだし、私が行くよ!」


「彼女に自分のソフトクリームわざわざ買いに行かせるバカがどこにいるんだよ」


そう言ってサッサと行ってしまった。


(今の言葉…ちょっとドキッとしちゃった。私、樹君のこと好きになり始めてるのかな?)

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