すでに恋は始まっていた
よく意味がわからなかったけど、だんだん理解してきた。


みんなの中にあの記憶がないってことは、あれは私の夢だったってこと。


…だと思う。


そして、気づいたことがもう1つ。


(目を見ても…みんなの心が読めない…?)


そう、私から能力が消えていたの!


みんなが私の横で笑ってくれること。


誰も傷ついていないこと。


なにより、みんなとの関係が壊れなかったことが嬉しい。


(これが現実なんだね。良かった…)


私の目から涙が溢れてくるのがわかる。


「ちょっ!日菜、どうしたの?」


「凛愛〜!」


私は幸せな現実を確かめたくて凛愛に抱きついた。


「え⁉︎ど、どうしたのよ!」


「ううん、ただ嬉しくて…」


嬉し涙を、凛愛が渡してくれたハンカチで拭く。

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