すでに恋は始まっていた
(そういえば私…普通に話せてる…)


「それよりさ、さっきの『日菜にはおれが必要』ってやつ?そういう意味で捉えていいんだよね?」


心なしか疾斗の目が輝いて見える。


こんな顔を見るのは久しぶり。


「そういう意味って?もちろん友達を失うのは辛いって意味だよ?」


(他に何があるんだろう)


私の言葉を聞いた瞬間、輝いていた疾斗の笑顔が固まった。


「……はぁ、まぁそうだよな。期待した俺がバカだった」


疾斗の顔が一瞬で落ち込む。


「え?なんのこと?」


疾斗が落ち込んでるんだから私が何かしちゃったんだろうけど…全く心当たりがない。


「こっちの話。確認するけど、これからは前みたいに声かけていいんだよな?」


「もちろん!」


(やったよ!2人とも。「仲直り」できたよ!)


笑いあう私と疾斗を2人がそっと見守っていた。

< 85 / 363 >

この作品をシェア

pagetop