思いは記念日にのせて

「みんなが証人ってことで、ここでもう一度言おうかな。運命の赤い糸って――」 
「わっ! ちょっ、なっ」

 狼狽えるわたしを見るのが心底楽しそうな悠真の笑顔が、一瞬にして真面目なものに変化した。

「――信じる?」

 みんなの冷やかしの声が止んで、通り過ぎてゆく人の話し声や足音、車の通過する音が自然に耳に入ってくる。
 わたしの胸の奥のほうで、今の悠真の声とあの時の悠真の声が重なり合うように聞こえていた。
 
「信じてる」

 あの時言えなかった言葉を大切に、ゆっくりとうなずきながら答える。
 絡められた小指に力を込めると、悠真も同じように返してきた。
 背の高い悠真がわたしの顔を覗き込むように近づいてきて、びっくりしつつ目をぱちくりさせていると。

「ずっと好きでした。結婚してください」

 こそっと耳元でそう囁かれた。
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恋愛(純愛)203ページ

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長田花音(おさだかのん)と藤城真麻(ふじしろまあさ)は隣に住む同い年の従姉妹同士。 美人でスタイルがよく、勉強もスポーツもできる真麻に幼い頃から劣等感を抱き続ける花音。 一方、目立たないけど優しく控えめな性格の花音を見つめる視線に思いを寄せる真麻。 ないものねだりのふたりは姉妹のように仲良く育てられてきた。 恋愛初心者の花音が意識しだしたのは好きな芸能人に似ている人。 恋愛上級者の真麻は初恋の相手を忘れられず先に進めないでいた。 大人になったふたりの大人になりきらないふたつの恋。 第一章はクリスマスイブから恋が始まる花音編。 第二章は中学時代から思いをこじらせている真麻編。 *自ブログに投稿していたものを加筆修正しています* H26.12.23~H27.2.4

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