思いは記念日にのせて

第十七話

 
 ゆうべはさすがに飲み過ぎた。
 昼頃起きて携帯を確認。
 一日の始まりがそれってなんとなくあんまり誉められたコトじゃなさそうだけど、両親からの連絡が入ってるかもしれないし……それに貴文さんからも。

 なーんて淡い期待を抱いたもののメッセージなし。
 
 貴文さんも昨日は帰りが遅かったのかもしれない。
 おやすみなさいのメッセージがなかったのはこれが初めてかも。

 本当はこういうのって女のほうがするものなのかと思っていたけど、典型的めんどくさがりやのO型のわたしはメッセージの返信も極力避けたい派だったりする。
 その点貴文さんはメールもまめでこっちが連絡しなくても送ってくれるので大変助かっている。
 それなのに昨日はなかった。
 メール送信は夜遅くても大丈夫か聞かれて『二十四時間受け付けています』と答えたのはつい先日のこと。

 たまたま、だよね?
 
 だけどなんとなく気になって、わたしから本当に珍しくメッセージを送ってみた。
 
  『お疲れさまです。今日は何をしていますか?』
 

**


 翌日、月曜日。
 結局貴文さんからの返信はなかった。

 まさか土曜から家に帰っていないということはないと思うんだけど。
 駅から反対方向とはいえ近いはずなのに、わたしは貴文さんの家を知らない。
 だから行くこともできないし、自宅の電話番号すら知らない。連絡の取りようもなかった。

 会社に行けば、会えるよね。

 なんとなく重い気分で家を出た。
 
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