思いは記念日にのせて

「中に入っていたものを見せてほしい」

 アンケートボックスに内容以外のものの投入は控えるよう、注意喚起のお願いを貼りたいと申し出たら案の定片山課長にそう聞かれた。
 当たり前のことだろう。
 自分でなんとか、と思っていても結局できることは上司に頼るだけだった。
 情けないけど、このまま放置していても終結の時は来ないような気がしたから。

 いつもニコニコしている片山課長がこんなにも堅い表情を見せるなんて初めてのことで戸惑ってしまう。
 本当は見せたくないけどしょうがない。
 今まで入っていたものを片山課長に差し出すと眉間にしわを寄せて目を眇めた。

「なんでもっと早く言わなかった」
「……すみません。プライベートなことなので」
「そりゃそうだろうけどこんなにも何回も来ていたのならちょっとしたいたずらではないってことくらい判断つくだろう?」

 座ったままの片山課長が苛立たしげにとんとんと机を指先で叩きながら、怒ったようにわたしを上目遣いで睨みつける。
 こんなに怖い課長は初めてだ。
 ただ申し訳なくて頭を下げると、はあっと大きなため息を吐かれてしまった。

 呆れられてしまったという事実が目頭をじんと熱くさせる。
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