強引上司の恋の手ほどき
「いつかちゃんと話すから、それまで待ってろよ」

耳元で囁くようにすると、くすぐったそうに肩を上げた。

その表情がお折れのイタズラ心に火をつけた。

耳の形をなぞるように舌をはわせると、びくっと体を揺らし目を覚ました。

「課長、なにやってるんですか?」

「俺、ほったらかしてすやすや寝てる彼女に制裁を加えてるところ」

首筋を舐めあげるとクスクスと笑い声を上げた。これじゃ全然制裁にはならないな。

「そうだ……課長。昨日途中で終わらせた話なんですけど。いつから私が好きだったんですか?」

俺の様子を窺いながら聞いてきた。

「さぁ、いつだっけな。最初に好きになったのは、お前自身じゃなくて、お前の調子のはずれた鼻歌だけどな」

「え? どういうことですか!? 私鼻歌なんていつ歌ってましたか?」

あんなに毎日歌ってたのに、気がついていなかったのか?

無意識って恐ろしいな。
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