友達になるということ





翌日。
朝のホームルームで、先生が連絡事項を伝えたあと、改めてクラス全員の注目を集めた。


「突然だが、今日転入生が来ました。これから紹介するから」


こんな中途半端な時期に転入生?
と、みんなが不思議がる中、あたし一人だけは焦っていた。


そして、男子であってほしいと、ひたすら願う。


もし女子だったら……そう考えるだけで、いまだに消えないトラウマが蘇ってくる。


なんとなくスミレを見ると、心なしかワクワクしているように見えてしまって、心臓が落ち着かない。


せめて、蘭みたいな子じゃなければ……!


先生が黒板にチョークで名前を書き始めたので、あたしは女か男か、真っ先に確認する。


そして、愕然とした。


「じゃあ、入って」


名前を書き終えた先生が廊下のほうに声をかけると、ドア越しに「はい」と高い声が響いて、あたしはさらにため息をつく。



< 19 / 339 >

この作品をシェア

pagetop