友達になるということ




あの制服は……確かこの辺で一番近い高校の制服だ。


いいなぁ、セーラー服。あたしの学校はブレザーだけど、あたしはセーラー服が着たかった。


でもあの学校には、彩芽と蘭が受験してたのを知って、絶対行きたくなかった。あたしの学校には同じ中学の人は一人もいないから、本当によかった。


まあ、芹香という別の問題がやってきてしまったんだけど……。


それにしたって前の女の子、歩くの遅いなぁ。
そういえば、彩芽もすごく歩くの遅かったっけ。


追い抜こうと思って後ろからすれ違った時、女の子と目が合って、あたしは思わず目を見開いた。


「な、なずなちゃん……!」


音楽でほとんどかき消されてよく聞こえなかったけど、たぶんその子はあたしの名前を呼んだ。


驚いたことに、前を歩いていた彼女というのは、中学卒業以来、ずっと会ってなかった彩芽だったのだ。



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