動き出した、君の夏

激痛(夕side)

『ぐ……』

バットを握る力が弱くなった

『痛ぇ…っ』

右手で左手首を抑えた

がらんっ

手からバットが滑り落ちた


『……っ』

震える左手を見た
手首の骨の辺りに、デカくて赤い痣(あざ)ができていた

『…っつぅ…っ…』

バカじゃねぇの。俺
速い球打ちながら余所見(よそみ)するとか…
ぶつかるに決まってんのによ…

結構速い球にセットしてあたったから、痛みもハンパじゃねぇ
痛む左手で、バットを持ち上げようとした

『う゛…ッ』

強く痛んで、バットを取り落とした
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