動き出した、君の夏
「そろそろ、地区予選だな」

夕から話を切り出してきた
地区予選の初戦まで、あと一週間だった

『あ、あたし一回戦行けないや!』
「えー。何で?」
『あたしも県大会だもん!あと関東出て、全国出るつもりだし!』

三週間前の地区予選で、100m、高跳び、4×100mリレーで県を決めた

「…そっか。ま、俺等優勝して甲子園行くから、見てろよ?」
『あたしだって今年は全部の種目で全国狙うよ?』
「…じゃ、俺もレギュラー復帰できるように頑張りますか」

笑顔で呟いて、残りのジュースを一気に飲み干した

『頑張って!…あ、でも無理しないでよ』
「ん?」
『悔しいのは分かるけど…さ、もっと酷くなったら困るし…』

「ん。さんきゅーな」

ちゅ

笑顔であたしの唇に触れるだけのキスをした





『………なっ…!!』
「ん?どした?」

『なっ…なっ…ななな…』

「何だよ?」
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