動き出した、君の夏
『……やった…』

俺の投げたボールが、ミットに収まった
あんな気持ちいい音、久しぶりに聞いた



『………やったっ!!!!』

投げれた!!
ストレートが、いつもの調子で!!

キャッチャーが、立ち上がりながらマスクを外した

「っやったな夕っ!!!!」

マスクを地面に叩きつけて、裕樹が叫びながら走ってきた


『やった!!俺、投げれた!!!!』
「すっげぇ!!お前、それ試合で投げれる速さだよ!!!!」

左手首を強打してから、初めて投げられた速いボールだった
怪我をしてから、バットも握れなかったのに
グローブを付けられなかったのに

今日、投げれた!!!!

『やったーーーーっ!!!!』

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