動き出した、君の夏
夕が、歩きから加速してランニングになって走り始めた

紺のダイダイ染のタンクに、カーキのカーゴパンツ
黄色いスニーカーの夕のランニングフォームを見つめていた

真っ黒のショートカットが沈みかけた夕日に照らされて、綺麗なオレンジだった
タンクから出る腕と、カーゴパンツから出る足が
走り込みも普通の部員の倍はやってるのに細くて
体脂肪率が少なくて
筋肉が薄く、無駄なく付いてる

身長170cm以上で、背筋をピンと伸ばして
陸上でも通用しそうな綺麗なフォーム

その背中に、1の番号を背負って
チームを背負って
甲子園で戦うんだ


『……頑張ってね…』



細くて力強い新しいエースの背中に呟いた
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