動き出した、君の夏

夏の開幕

~♪~♪♪~♪♪♪

『………ん~…』

真夏の朝
セミの声が相変わらず五月蝿い部屋で、ケータイの着信音で目が覚めた
相手も確認しないで手さぐりでケータイの通話ボタンを押した

『…ふぁい…三村です…』

受話器の向こう側は、ガヤガヤと騒がしかった

《あ、千夏?》
『夕っ』

耳元で夕の声がした

《今、起きた?》
『…うん』
《俺、今から開会式だから千夏に電話しとこうかと思って》
『そっか、今日からなんだぁ…明日だっけ?』
《そう。明日H校と》
『H校って…ウチとしてはどうなの?』
《楽勝って言われてるけど、相手に手抜きで戦うのは失礼だから全力で行くわ》
『そうなんだぁ…あ、頑張ってね。開会式テレビで見る』
《おう!じゃ、千夏も明日関東だよな。頑張ってな》
『ありがとっ。健闘を祈ります』
《ん。じゃな。千夏》

ぴっ

通話時間56秒…

朝から夕の声聞けて幸せ!!

『よっ』

眠気が一気に覚めて、ベッドから飛び降りて階段を駆け下りた
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