動き出した、君の夏

好きになった!?

『は~~~~あ』

ぱく
長い溜息をつきながら玉子焼きを口に入れた
瑞希が箸を持って、あたしの机に身を乗り出した

「何。その溜息?」
『う~~~~ん』
「分かんねぇよ(笑」

笑いながら、あたしのお弁当箱の中にあった玉子焼きを食べた

『あ、それあたしの玉子焼き』
「いーじゃん。千夏の玉子焼きすっごい美味いもん」

もぐもぐと口を動かしながら、途切れ途切れになって瑞希はあたしに聞いた

「ふぇ?ふぁに、ふぁめいき、ついふぇんふぉ?」
『え?何?分かんない…そんなデカい玉子焼き一口じゃ食べれないよ?』

まだモゴモゴやりながら、時間をかけて玉子焼きを飲み込んだ
お茶を一杯飲むと、また聞いた

「…っぱぁ!!…で?何溜息ついてんの?」
『あ、そー言ったんだ』
「千夏さぁ、4時間目の後からずっとそんなんじゃん」
『え、そう!?』

ちなみに4時間目は、問題の体育の時間です

「ふぁんかあったふぉ?」
『あ、また玉子焼き!!!!』

またもや玉子焼きを盗まれた

「何かあったの?」
『いやー…何だろねぇ…自分でも分からん…』
「ふーん………あ!!」

うーんと唸っていると、音を立ててストローでお茶をすすっていた瑞希が何かにひらめいた

『何?』

聞くと、瑞希がまた身を乗り出してニヤニヤして言った
しかもめっちゃでっかい声で

「そーいや千夏、村松に肩抱き寄せられたね!!」


「「「「何ィ!!!!????」」」」

クラスの大半の人(男女両方)があたし達を振り返った

「うっせーよ!!」

瑞希が眉間に皺を寄せた

『あー…そーだった…』

少しだけ頬が熱くなった気がした

「もしかして惚れちゃったとか!?」
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