おでこにキス。



奥の席に座ると、さっそくケーキをいたただく。


モンブランの上には、小さめの栗が乗っていてよくそれを昴に食べられた。



『とっておいたのにー!!』



そう言って毎回怒った。


昴は、笑って謝ったけどそれから何度も私の栗を食べた。



『そんな怒るなって!今度、栗いっぱいのケーキ、食わせてやるからよっ!』


そして、付き合って初めての私の誕生日。


いつもの西洋堂。


いつもの席。



用意されたのは特注のモンブランのホールケーキ。


たくさん栗がのっていて、誕生日おめでとうっていうチョコプレートが飾れていた。



『……こんなに食べれないよ。でも本当にありがとう昴。』


私はそう言いながら嬉しくて泣いた。



『……泣くほど栗が好きなのかよ。』


昴は、真っ赤な顔をして頬杖をついて横を見ていた。



栗じゃないよ。昴のことが泣いちゃう程、好きなの。


昴の横顔を見つめながらそう思った。


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