おでこにキス。
「自分の事で精一杯だった。昴のこと、考えられなかった。」


そして、就職先も決まりまた以前のように昴と過ごそうとした時。



やっと、昴は口を開いた。


昴は以前のように、考え込む事もなく、はっきりと決定事項として伝えてきた。


『卒業後、イタリアに留学する。向こうで成功するまで戻らない。少なくとも、5年は戻らない。』



変わらない毎日が本当の幸せ。


だと思っていた私には5年という年月が永遠に思えた。


『……そう。じゃあお別れだね。』


気づいたら、そう言っていた。


昴が側にいないこと。


それは、=別れ。としか思えなかった。


『……梨子。』


昴は、苦しそうに、切なそうに、目には涙をためながら、


『決めたことだから。』


と呟いた。









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