琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!

「お嬢様、お城の方がいらっしゃいました」

グリムの声が、扉の向こうから聞こえます。

「ついに来たのね・・・」


私は大きく深呼吸すると、椅子から立ち上がります。


もうこの屋敷に戻れないかもしれない。
この部屋にも・・・。

そんな思いで一通り部屋を見回します。

そして最低限の貴重品の入ったバッグを一つ手に持つと、扉を開けました。

「お待たせ、グリム」

「お嬢様・・・・。なんと声をかけていいか・・・」

「グリムは、お父様とお母様の事をこれからも助けてちょうだい。お願いね」

「はい、わかりました。お嬢様もあまり無理をせずに・・・」

「私は・・・大丈夫よ、多分ね」

心配掛けまいと笑顔をなんとか作ります。
が、グリムには気付かれているようで、切ないようなそんな表情を浮かべていました。


ごめんなさい、グリム。

あなたにそんな顔をさせちゃいけないってわかっているのに。

< 59 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop