琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
「・・・ため息」

小さな声が、車輪の音にかき消されながらもかすかに聞こえました。
サイラス様の方を向くと、少し苦笑いをしながらこちらを見ています。



苦笑い。

でも、久しぶりに見るサイラス様の笑い顔。
やっぱり、この方の笑顔は優しい。


「何か・・・言いましたか?」

「いや、ため息が凄いな、と思ってね。そんなに殿下にお仕えするのが嫌ですか」

「・・・はっきり言いますと、嫌、ですね。あの時ちゃんと断ったのに、こんな事してまで」

「だから諦めが悪いと言ったでしょう?」

「その言葉、よく分かりましたわ。今回の事で」


そう言うと、またため息が出てしまいます。これで何回目なんでしょう?
そして今後、何回ため息を付く事になるのでしょうか。

< 61 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop