琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
人ごみを掻き分け城の外へ出ると、外で待たせていた古ぼけた馬車。
それに勢い良く乗り込みました。

「お、お嬢様!?どうしました?そんなに慌てて!」

「グリム!お願いっ・・・!いいからっ・・・!早く出して!!」

たった一人の使用人であるグリムは、ただならぬ空気を感じ取ったのか慌てて馬に鞭を振り、その場を離れました。

走ったせいで息も髪も化粧もぐちゃぐちゃ。
ドレスも汚れています。


それでも私は逃げ切れた事に安堵しました。


「はあ・・・、良かった・・・」


・・・とは言え、こんな騒ぎを起こしてしまった私。
もう夜会には行けない。
大事な栄養補給の場なのに。

しかもお皿とフォークを持ち出してしまった・・・。
お城のものなのに・・・。

もうこれは家の家宝にしよう。
今更返すわけにもいかないしね・・・。




「あーあ・・・。仕事の時間を増やしてもらわないとね・・・」



私は馬車の窓から流れる風景をぼんやりと見ながら、そう呟いたのでした。
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