目には目を、歯には歯を
「この国には、君が言うような裁判制度というものがない。
他の国では、君の言う弁護士とやらが、犯罪者側にたち、被害者側に検事がついて、裁判という場で争うのだろう?
一応知識として知ってはいるが、この国に、その制度はない。
犯罪者は等しく裁かれる。

この国における犯罪の法はただ一つだ。

『目には目を、歯には歯を』」

それだけ言うと、初老の警官は、また先ほど立っていた位置に戻った。

ジャックは笑みを浮かべたまま、内心でめまぐるしく考える。

――ハムラビ法典、だったか?
殺されたら殺すって事か??

青ざめてくるのが自分でも判った。

――裁判もせずに死刑になる!?

ジャックの考えが判ったのか、署長が首を振った。

「この国では、例え殺人でも命は取られることはないよ……決して、な」

なぞめいた言葉を残し、署長は立ち上がった。

「法の執行は明日からだ。今日は申し訳ないが、ここに泊まって貰う」

そう言い残し、去っていってしまった。


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