妖の王子さま



白玖の部屋に寝かされた蒼子は、ぐったりと細く息をしていた。
時々苦しげに唸る蒼子を白玖はじっと見つめていた。




「多々良・・・。わからないんだ。なんで、蒼子は俺を庇ったの?」




その後ろに控えていた多々良。
白玖の声に顔を上げる。




「白玖さまは、なぜ蒼子さんを庇おうとなされたんですか?」




質問を質問で返す。
白玖は、少し考え込んだ。
多々良は答えが出るまで黙って待った。




「勝手に・・・動いていたんだ。蒼子が母上のところにいったと聞いて・・・。そしたら、母上が手をあげていて。それを見たら、咄嗟に・・・」

「蒼子さまも、そうなのかもしれません。白玖さまを庇おうと、咄嗟に動いてしまったのかもしれませんね」

「咄嗟に・・・。俺と、いっしょ?」

「はい。・・・それに、蒼子さまは、きっと白玖さまに傷ついてほしくなかったのです」




多々良は一言一言、噛みしめるように話す。
白玖に、伝わるように。
わかるように。




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