妖の王子さま



蒼子は、そうして白玖の表情がコロッと変わるのが好きで、ついそう言って意地悪をしてしまう。
今までに見なかった白玖の姿に、蒼子も楽しんでいるのだ。



「みたい」

「だめ」

「意地悪、蒼子」

「もう、お祭りまで楽しみにしてて!」

「・・・楽しみに。早くみたい、って思うのは、楽しみってこと?」

「うーん。まぁ、そうかな?」




蒼子が答えると、白玖は、そっか、と小さく呟いて考え込んだ。
新しく知った感情に、白玖は満足そうに頷いた。




「そっか。楽しみか。・・・うん。楽しみにしてるね、蒼子」

「ふふっ。楽しみにしててね」




蒼子は、どんな着物を着ようかと考える。
白玖に、可愛いと言ってもらいたい。

蒼子は最初以上にお祭りの日が楽しみになっていた。




< 297 / 381 >

この作品をシェア

pagetop