妖の王子さま



白玖の、その気持ちはどういう気持ちなんだろう。
どういう位置づけなのだろう。


蒼子は、思う。



自分と同じ、“恋”ならいいと。
願う。


それでも、きっと白玖はそんなつもりはないのだろうとわかるから。
白玖の、こういった行動に、振り回されるのは自分なのだ。




「多々良たちは、なにを催すの?」

「舞を踊るって言ってた」

「舞?」

「そう。黄の国に伝わる、伝統舞踊」

「へぇ!すごい!楽しみだね」

「・・・んー。そうだね」




白玖は、蒼子の言葉にあまり乗らない様子を見せた。
そう言えば、と牛鬼が言っていたことを思いだす。

他の国の長たちは、催しに参加するが、白玖はもともと興味もないため参加していないと。
だからこそ、こうして一緒にお祭りに行くことができているのだ。


白玖が、あまり乗り気でないことに納得がいった。
ならば、早めに戻ってきた方がいいかもしれないな、と蒼子は想った。
少しでも、一緒にお祭りが回れたらそれでいい、と。


< 301 / 381 >

この作品をシェア

pagetop