恋する時間を私に下さい
VOL.12 時間よ、動け!
…………身体が…すごく重かった……。
沈むように重くて……
……手足を動かそうにも、力が入らない。
……これじゃあペンも持てねぇな…と、心の何処かで考えてた…。
「礼生……」
ジイさんの声がして振り向いた。
まだ若くて、髪が黒かった。
「『OーGATA図書館』を継いでくれるか?」
始めたばかりの私立図書館のことを気にしてた。
「ヤダよ!オレはマンガ家になるんだ!」
小学生の頃からそう言ってた。
ジイさんは笑って、「そうか…」と頷いた。
「…でもな、漫画の世界も厳しいぞ。売れなきゃ埋もれる。お前は埋もれない漫画を描く自信はあるか?」
「あるさっ!ゼッテー売れるマンガ家になってやるっ!」
根拠もない自信を示す俺のことを、ジイさんは笑って見てた。
あれから何年も年月が流れて……
「礼生……お前に財産を残してあるぞ……」
亡くなる一週間ほど前だったろうか。
定職に付いてなかった俺のことを心配してそう言った。
ーーージイさんが亡くなって、形見分けの日ーーー
「孫の緒方礼生には、レトロビルの所有権と『OーGATA図書館』の一切の権利を任す」
弁護士によって読み上げられた遺言書に基づき、ジイさんからレトロビルを引き継いだ。
ビル自体は明治時代のもので、いつ取り壊すことになってもおかしくない古さだった。
でも、そこに開いた図書館には老若男女問わず、多くの読書ファンが通ってて……
沈むように重くて……
……手足を動かそうにも、力が入らない。
……これじゃあペンも持てねぇな…と、心の何処かで考えてた…。
「礼生……」
ジイさんの声がして振り向いた。
まだ若くて、髪が黒かった。
「『OーGATA図書館』を継いでくれるか?」
始めたばかりの私立図書館のことを気にしてた。
「ヤダよ!オレはマンガ家になるんだ!」
小学生の頃からそう言ってた。
ジイさんは笑って、「そうか…」と頷いた。
「…でもな、漫画の世界も厳しいぞ。売れなきゃ埋もれる。お前は埋もれない漫画を描く自信はあるか?」
「あるさっ!ゼッテー売れるマンガ家になってやるっ!」
根拠もない自信を示す俺のことを、ジイさんは笑って見てた。
あれから何年も年月が流れて……
「礼生……お前に財産を残してあるぞ……」
亡くなる一週間ほど前だったろうか。
定職に付いてなかった俺のことを心配してそう言った。
ーーージイさんが亡くなって、形見分けの日ーーー
「孫の緒方礼生には、レトロビルの所有権と『OーGATA図書館』の一切の権利を任す」
弁護士によって読み上げられた遺言書に基づき、ジイさんからレトロビルを引き継いだ。
ビル自体は明治時代のもので、いつ取り壊すことになってもおかしくない古さだった。
でも、そこに開いた図書館には老若男女問わず、多くの読書ファンが通ってて……