恋する時間を私に下さい
(ソットーするような漫画か……ホラーとかかな…?)

子供の頃、友達が読んでたホラー漫画の雑誌を思い浮かべた。
あまり真剣に見なかったけど、確かにゾッとするページが幾つかあった。

(…あんなの描いてるのかな…)

ボンヤリと考えてると、ルナがキッチンにやって来ました。

「…お姉ちゃん…?」

声をかけられたのに全く聞こえてなかったみたい。
ルナは悪気もなく、ポンッ!と背中を押した。

「…お姉ちゃんってば!!」
「きゃっ!!」

ビクついた拍子に、手が電気ポットにあたり、ガタン!…とシンク内にひっくり返してしまった。

「…熱っ!」


湧きたてのお湯が見事にかかり、左手の指先が真っ赤に腫れ上がった。


「キャアアア!!」

ルナの大声は、深夜の部屋中に響き渡った。
それは当然、隣にも聞こえたらしく…


………ドンドンドン!!

大きな音でドアが叩かれるのと一緒に、インターホンの連打が聞こえてきた。

「開けろっ!」

怒鳴り声までする。


「お…お姉ちゃん…」

青ざめたルナが震えてる。
こっちはそれ所じゃない。
早く冷やさないと、大変なことになる。

「開けろ!こらっ!!」

叫ぶ声も、どんどん大きくなってる…。

(仕方ないな…もう…)

「……ルナ…ドア開けて…」

…そう頼んだ。

「…イ、イヤよ…!」

怖さの余り、ルナは大きく首を横に振った。
< 34 / 206 >

この作品をシェア

pagetop