朔旦冬至 さくたんとうじ ~恋愛日和~
ガチャ…







乱暴に…アパートの
ドアが開いた。







「ごめんっ!!
 陽和!!」




息を切らせて
帰ってきたのは…


…朔だった。








「さ…さくちゃ…ん…」




陽和は,立ち上がることも
出来ないまま,
安心した顔を浮かべた。


「ひ…より?」



朔はしゃがみこんで
陽和の顔を見る。

「…よ…よか…った」


そういった陽和の顔は
涙でぐしゃぐしゃに
なっていた。

「陽和…」

朔は,申し訳ない気持ちと
そんな顔をして待っていた
陽和のことを愛おしく思う
気持ちで,胸が苦しくなった。

「ごめんなあ…心配…かけて」

朔は陽和をぎゅっと
抱きしめる。

陽和も,朔の存在を
確かめるように
強く抱きしめ返した。

「陽和…」

こんなに陽和が力強く
しがみつくように
返したことは無かったので,
朔は少し驚いていた。


「ごめんごめん
 …心配…した…よな…」

「…したよ…
 心配して…どうにか
 なりそうだった…」

陽和のその言葉に
たまらなくなって朔は,
陽和に強くキスをした。

「ごめんな…」

朔は,陽和の頭を撫でながら
しばらくそのまま
抱きしめ続けた。




そのとき
突然…再び
ドアが開いた。





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