超能力者も恋をする
すっかり月も上りきった夜道を先輩の車で走って帰る。

「…間宮は、どこまで見えてたんだ?」
どちらからともなく始まっていた沈黙を破って先輩が口を開いて尋ねてきた。

心臓がドキッと跳ねた。

こうなってしまったら今更嘘は言えないので正直に言わなくてはならない。
でも、先輩に言うのはとても気が重い。
(言って嫌われるのが、怖い…)

覚悟を決めて重い口を開く。
「バックを触って、美弥さんが産婦人科に行ったのが見えて妊娠してるのが分かりました。それからコンビニで白木さんと会って、泊めて貰っているのも見えました。」

これが全てだ。
バックを触ってサイコメトリーの能力を使って見たのは、美弥さんが秘密にしておきたかったものだ。
サイコメトリーの能力はそう、人の記憶をその人の許可関係無しに勝手に見てしまう。
その事ですみれは過去に過ちを犯してして人を傷つけてしまった。
だからもう使わないようにしていたのに、こうして使ったらまた人を傷つけてしまった。

美弥さん、佐川さん、それにお腹の赤ちゃんにも申し訳なくて胸が苦しくなる。
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