未知の世界3

その日の夜、幸治さんが一人で私のところにきた。









「かな、どうしたんだ?」






まだ傷が痛む。麻酔は完全に切れてるけど、あれから薬も飲まずだったから、痛みに耐えるのに必死だった。






今は体が熱い。






「なぁ、話せよ。」 









幸治さん、痛い上に怠いんだよ。






そっとしておいてよ。






「ん?顔が熱くないか?夕方は熱どうだった?」






と私の額に手を置く。





このままでいてほしい。何も聞かないで。このまま手を置いたままでいて。





私は思わず左手で、私の額に置かれた幸治さんの手を握った。






「やっぱり、熱あるな。」






そんなこと、どうでもいいよ。





「こ、こうじ、、さん。






この、、、、ま、ま、でいて。





手を、、、離さない、、で。」





と言うのがやっと。





「分かった。そのかわり、ちゃんと話すんだ。」






鬼、、、、、、






しょうがない。






「昨日ね、、、朝の吸入の時、、






すごく辛かった。





進藤先生、怒らせちゃった。       






進藤先生に、、、鼻をつままれて、苦しくて、、、





吸入で、あんなに苦しくなるなんて。」







「あぁ、進藤先生に聞いたよ。むせて全然吸えなかったんだろ?前よりひどくなってるんじゃないか?





進藤先生は、怒ってないぞ。治療のためだ。






苦しくても、今は吸入しか治療方法がないんだ。 

 




かななら、わかるだろ?」





と言われ頷く。   

    




「それから、、、食欲なくて、、、でも先生に言われた通り、ご飯を食べたら、お腹が痛くなって。






でも、早く退院したい。






だから、触診された時、言えなくて。」






というと、






「お前、変わってないなぁ」





と幸治さんが笑う。






「前にもそんなことがあっただろ?」







そういえば。ちゃんと話さなかったから、ひどい目にあった。






「一つ一つ。




一つ一つでいいんだ。






病気も勉強も、一つ一つ克服していけば。」






そんなことしてたら、いつまで経っても、私は幸治さんに認めてもらえない!





「それじゃ、、だめ!






幸治、、、さ、、、ん。






いつまで経っても私を認めてくれない。」






「大丈夫だから。俺にはお前しか、大切な人はいない。」






えっ?





「大丈夫だから。」





今なんて?私、、、待っていればいいの?






「お前はお前のやるべきことをやっていればいいんだ。






だから、、、待ってろ。」






私は嬉しくて、涙が出てきた。
   





「泣くな、、、苦しくなるだろ?






もう看護師呼ぶぞ。」







と言うと、幸治さんは、ナースコールを押して、私に熱があることを伝えた。








 

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