あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

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「相原さん。」

私は名前を呼ばれた方を振り返る。

私は相原萌香（ほのか）、入社5年目の27歳。

この総勢15人ほどの小さな工務店の経理兼総務課で働いている。

私はいつも1階の事務所に居て、普段は給料計算や物品の発注、契約書の作成などをしている。

でもそれ以外に、ほとんどの雑用を引き受ける何でも屋さんでもある。

「佐川さん、どうしました？」

そこへやって来たのは、入社7年、私より2つ先輩の工務課の佐川さん。

なかなかのイケメンで、すらりとした長身に今は作業服を着ている。

そんな佐川さんは両手をズボンのポケットに突っ込みながら近づいてきた。

事務所の入り口そばの定位置のデスクに座っている私の横に何気に立つ。

思いきり見下ろされている気分。

「今日は何ですか？」

私は座ったまま、佐川さんを見上げる。