あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「透さんと何か約束でもあった?」

私は聞いた。

「ううん、あいつは暇だと突然やって来るから。」

郁也は昨晩脱いだ服を身に着け、玄関へ向かった。

それを見届けて、私も服を拾い上げ慌てて身に着けた。

もしかすると、透さんが中に入ってくるかもしれない。

でも…。

「萌香ちゃん、お取込み中みたいだから帰るね。」

そんな透さんの声が聞こえる。

「あっ、構わないですよ。上がって下さい。」

思わず私は大きい声で透さんに答える。

そう言ってから、自分がすっぴんで慌てて着た部屋着姿だと思い当たる。

「良いよ、俺も今からデートなんだ。郁也がちゃんと朝起きたか確認しただけ。
じゃあ、また今度ね。」

その言葉と共に、何か郁也さんがしゃべっている気配を感じる。

私は慌てて玄関へ走って行った。
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