あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
20
土曜日は私の実家に行く約束をしていた。

実は前日が郁也の送別会だったので、密かに私は心配だった。

いくら郁也がお酒に強いとはいえ、この日に限っては注がれるお酒を断れないと思っていたから。

郁也に言わせると、これも二次会を断った理由の一つだったらしい。

郁也はジャケットを着ると、私に聞いた。

「あまり堅苦しくなくて、でもこれならご両親に失礼じゃないよな?」

よく見ると縦にラインが入っているジャケット姿で、身なりを気にする郁也が新鮮だ。

郁也なりに緊張しているようだ。

胸には私が選んだネクタイ。

今日はドット柄。

何だかお守りのように感じた。

「行くか。」

郁也のその言葉に、駅に向かって並んで歩き出す。

私の実家は隣町になる。
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