あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「大丈夫。その辺の事は全部引っ越し屋に話してあるから。」

その郁也の言葉通り、ものの見事に引っ越しは終わった。

郁也のマンションは広いから、とにかく空いている部屋に私の荷物がおさめられた。

要らない物はそのまま引っ越し屋さんに引き取ってもらった。

「いらっしゃい、萌香。今日からここが君の家だよ。」

引っ越しやさんが帰ると、郁也が私にふざけて笑った。

「会社から家からバタバタだったね。」

私は息を吐く。

「週明けから俺と出勤だぞ。大丈夫か?」

「明日一日で何が出来るかな。」

私は頭をめぐらす。

「ごめん。明日は親父の所に行く。パーティの打ち合わせだ。」

申し訳なさそうに郁也は言う。

「そうなんだ。しばらくは落ち着かないね。」

< 371 / 400 >

この作品をシェア

pagetop