無の王
動揺している琴音の面に向けて竹刀が振りかぶられた。

そして「バシィッ!」という音が鳴り響いた。



「はい『面』決めましたよっと。俺の勝ちだ。」



しばらくして琴音は面を外し、汗を拭いて零に近寄る。


「零やるじゃん…。あたし完全に零の手のひらで踊らされていたって感じで…。」

よく見ると琴音は凄く悔しい顔をしている。

何も出来ずに負けたのが余程悔しかったのだろう。


「いや、これ所詮は授業だからな。俺がやった事なんて実際の試合でやる奴いないからな?」

悔しそうな顔をする琴音を必死にフォローする零。


フォローしなければ泣いてしまうのではないかと思い零も必死だ。


「あー…じゃあ残り時間はお前の練習に付き合おう。もしも変な構えの敵と試合する事も考えて俺で練習しよう。」


面倒だが少しでも機嫌良くなってもらわなければ零としても困るので残り時間は琴音と練習する事にした。





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