無の王
放課後、零は飛鳥の授業が終わるのを待っていた。

いつもの如く、飛鳥は授業が終わり零のいる屋上に行く。


「お待たせ。じゃあ行こ?」


地べたに転んでいた零は立ち上がる。

「行くか。」



そして飛鳥に連れられて茶道部の部室に着く。


茶道部の部室は1階の和室である。


普通の人は使うことがないので、ここが茶道部の部室とは知らない。


「遅くなりました。」


飛鳥がそう言って入る。

零は部屋に入って感じた。


いかにも和風な部屋ということに。


それに学校なのに畳がある事という事に一番驚いた。



普通、高校に畳があるなんて思わないから驚くわな。


そして零の目には1人の女性が映った。


美人で校内偏差値トップの3年の藤宮桜花先輩だ。


生徒会長を勤めており、学校では知らぬものがいない超エリートで神の頭脳を持つとクラスの人が言っていた。



「桜花さん遅れてゴメン。」

飛鳥は「テヘッ」と謝る。

いや謝るというか笑っているな。


普段真面目な飛鳥もここではそんな一面を見せるのか。




「それであなたが一応茶道部に入ることになった伊地野くんかしら?」


そう言う桜花と目を合わした時だ。

急に背筋が凍るような殺気がした。


まるで俺のことを頭数としか思っていない…そんな気配が確かにした。


どうやら俺は桜花先輩からしたら虫けらの様な者なのだろう。



だが俺はエリートから馬鹿にされるのは慣れている。


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