遠すぎる君
プロローグ
「しばらく一緒には帰れないから…」

17時を過ぎたというのに
昼のような日差しが降り注ぐ
ここは我が中学の運動場。

私立の青蘭学園は
運動にも力を入れている幼稚園に小中高、そして大学まであるマンモス学園。

私はこの学園には小学校から通っている。

見慣れた運動場やその周りの学舎が
今は見たこともない景色に見えた。

「うん…わかってる…」

遼(りょう)は私の返答に目を丸くしている。

単純で真っ直ぐな遼の考えていることが手に取るようにわかった。

「頑張って。応援してるから。」

彼の喉からひゅっと音が聞こえる。

「ごめんな…」

その声を背中を受け
私は彼から遠ざかった。

涙が溢れそうだったから。
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