遠すぎる君
変化への対応
いつもの教室、いつもの面子。
何も変わってないのに、私達だけが変わった。


「おっはよ~」
クラスで仲良しの美幸は
ご機嫌に挨拶しながら入ってきた。
そしてまっすぐ私の机までやって来た。

「おはよ。」
私も普通に返す。

「ね?今日さ!
シュプレでセールやってるんだって。
帰り行かない?」

美幸はチラッと遼を見た。そして小声で

「…やっぱムリ?」

「ううん。行こう行こう。」

「え?いいの?ダンナは?」

「……大丈夫。」

美幸は
やった!と満面の笑みで
「実は土曜日からやってたみたいなんだよね。
もう今日行かないと何にもなくなっちゃう!」

じゃあよろしく~
と手をヒラヒラさせて席についた。


週末の練習試合の結果を知らない生徒は多数。
サッカー部のレギュラー以外は特に気にもしていない。



自分で言うのもなんだが
金曜日までラブラブで毎日メールもしていたのに

土曜日の試合後に告げられた「ごめん」から
メールすら鳴らない。
それがとてつもなく悲しかった。

夏の大会が終わるまで
遼は私に見向きもしないだろう。

でも
遼は今大変なんだ。
こんなこと思っちゃいけない。
少しの辛抱だ。
大会に全力を出せるよう遼を精一杯応援する。

そう思って何か出来ることをずっと考えていたけれど
私に彼に出来ることは無かった。

それがまた悔しくて悲しかった。



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