裏ギフト
「あたしにギフトを送っていたのは……あなた自身だったの?」


そう聞くと、男はニヤリと口角を上げて笑った。


その笑顔に全身が燃えるように熱くなる。


「そうだよ、侑里ちゃん」


そう言い男は深くかぶった帽子を取った。


そこに立っていたのは……ひなたの彼氏、空君だったのだ。


あたしは脱力し、思わず笑みをこぼした。


これでわかった。


あの甘い香り、あたしも知っている香りは、イチゴのクレープの香りだ。


空君はクレープが好きで、イチゴ味を食べていた。


初からその香りがしたのは、単純に初がクレープを食べたからだろう。


「空君は……あたしになんの恨みがあったの?」


そう聞くと、空君は驚いたように目を見開いた。


「侑里ちゃんに恨み? あるわけないじゃないか」


そうだと思っていた。


空君はあたしに恨みなんてない。


そしてこの惹きつけられる強い思いは……あたしたち、元々同じだったんだ。


「このギフトは、あたしが喜ぶと思って?」


そう聞くと、空君は自信満々に頷き「そうだよ」と、答えた。
< 377 / 382 >

この作品をシェア

pagetop