裏ギフト
1人になったあたしはゆっくりとひなたへと近づく。


空君がひなたの隣に座り、心配そうに話しかけている。


いいなぁ……。


自然と、そんなふうに思ってしまう。


あたしにも彼氏がいれば、あんなふうに心配してくれるのかもしれない。


あたしはそう思い、ひなたに自分を、空君にはクラスメイトの植木永遠(ウエキ トワ)と重ねていた。


永遠は学年1かっこよくて、スポーツも勉強も得意な男子だ。


そんな永遠の事を狙っている女子生徒はあたし1人ではない。


だけど、そんな永遠がもし自分だけを見てくれるようになったら?


そう考えると、胸の奥がカッと熱を帯びたように感じた。


「侑理、行くよ?」


ひなたの声にハッと我に返ったあたしは、慌てて2人の元へと走ったのだった。
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