裏ギフト
初とつぐみと約束した日曜日になり、あたしはいつもの休日よりも随分と早く目が覚めた。


今日は2人の口から必ず結香の話題が出るだろう。


結香が他にどんな悪口を言っていたのか、それを知りたがるだろう。


人とは不思議なもので、自分の悪口を耳にしたとき不愉快になると同時に、多少の高揚感を得る。


こいつはあたしの悪口を言っている。


だからあたしも言っていいんだ。


そんな感覚にとらわれる。


あたしは鼻歌を歌いながら着替えをして、一階へと下りた。


リビングからテレビの音が聞こえてくる。


「おはよう」


そう言いながらドアを開けると、仕事が休みのお母さんがソファに座ってニュース番組を見ていた。


「あら、今日は早いのね」


「遊びに行く約束があるから」


「そう」


お母さんはそう言い、嬉しそうに笑った。
< 74 / 382 >

この作品をシェア

pagetop