天敵なキミに恋をした
音楽嫌いな彼




「吹奏楽部ってただ椅子に座って楽器吹くだけじゃん。」



吹奏楽部の私、神崎 詩音に向かってそういう彼は相沢 奏多くん。




「なっ…!違うもん!吹部っていうのは腹筋とか肺活量とかいるから筋トレもするし、楽器吹くためにもいろいろ覚えなきゃいけないことが……っ…」




必死になって言い返す私はもはや涙目。




「はいはい、それ何度も聞いたから。神崎は何吹いてるんだっけ?」




相沢くんはふっ、と笑ってそういう。




「バリトンサックス…」




私がポツリというと相沢くんは少し考えてから口を開いた。



「サックスって確か、あのくねってしてるやつだよな?」




「うん、その一番大きいやつだよ。」




< 1 / 320 >

この作品をシェア

pagetop