今日も上からものを言う。
後ろを振り返ると、永瀬くんと目が合う。
けど、すぐに視線を落として逸らされてしまった。
永瀬くん……。
「美桜っ」
龍くんに名前を呼ばれて、私はまた前を向く。
龍くんは私を振り返っていて、目が合うとまた前を歩きだした。
しっかりと手は繋がれたまま。
龍くんに手を繋がれたら安心するのに、今はなぜか虚しくなった。
今は無性に永瀬くんのそばにいたい気持ちになる。
でも、永瀬くんは機嫌が悪かったから私が行ったところで、余計気分を害してしまうかもしれない。