今日も上からものを言う。
本当は、しなくてもいい雑用を私が自らしたがって忙しくしたんだ。
そのおかげで会わなくて済んだけど、もし会ってしまったら相当気まずいかも。
「次の方どうぞ」
笑顔を作って誘導する。
忙しいけど、こうゆう経験はしたことないから何気楽しくやっている。
「中は暗くなっているので、足元に気をつけてくださいね」
「だってぇ~律」
……律?
甘ったるい声が、聞いたことある名前を呼ぶ。
私が知っている律って名前の人は1人しかいない。
おそるおそる上を向き、その人物を見る。