今日も上からものを言う。
「じゃあもう遅刻だし、ゆっくり行こうか」
「え?
や、ダメ!英語だから授業抜けたらヤバイの!」
「僕が教えてあげるから。
もちろんタダではないけどね」
不敵な笑みを浮かべる永瀬くんは、私のまぶたにチュッと軽く口づける。
それがくすぐったくて、恥ずかしくて。
「走るのも疲れるからゆっくり行く」
「お礼は弾んでもらうからね」
「何も聞こえないよっ」
永瀬くんのおかげで涙は止まった。
ちゃんと龍くんには認めてもらいたい。
全てが丸く収まれば、永瀬くんには本当にお礼しなきゃ。
勇気もいっぱいもらえたし、頑張ろう。