オトコなのにオンナ……なのにオトコ!?



何歌ってんだかわかんねーけど揺れてんじゃね?って思うぐらい盛り上がる周りに釣られて気が付いたら俺もアズも前の方で拳を上げていた。



一瞬ピエちゃんと目が合ったような気がしたけど……気のせいかもしれない。



あの普段の姿からは想像出来ないぐらい頭を振り汗を飛ばすヤツの事を、俺は素直に羨ましいと思った。



俺の体がこんなんじゃなかったら……俺の居場所はステージだったのかも知れない、なんて。



ピエちゃんのバンドの出番が終わってちょっと後ろに下がった俺達の所へステージ衣装のオトコがやって来た。



「ピエちゃん!!やっぱりやんなぁ。めっちゃカッコ良かったで?」



まんざらでもない様子の彼を見てると俺までちょっと嬉しくなる。



なぁアズ。今のピエちゃんには貴族臭なんてないんじゃ無いのか?



せっかくだから付きあえばいいのに……。



「姫奈、最後のバンドよく見ときな」



ピエちゃんが来た事で「俺」でいられなくなった事に若干不満を感じつつも……何故かその言葉が引っかかる。



「うちの学校の先輩だからな?」



って事は日本人なのか。



「わかったよ。ありがとね」



そんな最後のバンドはお世辞にもボーカルが巧いとは言えなくて……でも楽器の奴らはかなりのテクだった。



ただ叫ぶわけじゃなく、メロディラインがしっかりしている。



俺だったら違う歌詞だな?



聞いているうちにイメージが次々に湧いて来て……



気が付けばライブは終わり、汗だくになったアズと顔を見合わせる。



「最っ高やな??」



「あぁ、俺バンドやりてー!!!」



ピエちゃんには聞こえないようにアズを引き寄せて呟く。



その時



そんな俺を見つめる視線を何処かから感じた。




< 253 / 335 >

この作品をシェア

pagetop